ステンレス鋼の基礎

ステンレス材料のご紹介

ステンレス鋼とは

ステンレス鋼は、鉄に10.5%以上のクロムを含有した錆びにくい合金です。
ステンレス鋼は、耐食性、耐熱性、加工性、非磁性など、目的に応じてベースとなる鉄に、クロム、ニッケル、モリブデンなどを適正量配合して作られております。

ステンレス鋼の規格とそれぞれの規格についての主な原料は下のようになります。

マルテンサイト系[鋼種記号: SUS410]

化学成分
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  • 磁性: あり
  • 耐食性: 低
  • コスト: 低
フェライト系[鋼種記号: SUS430]

化学成分
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  • 磁性: あり
  • 耐食性: 中
  • コスト: 中
オーステナイト系[鋼種記号: SUS304]

化学成分
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  • 磁性: なし
  • 耐食性: やや高い
  • コスト: やや高い
オーステナイト系[鋼種記号: SUS316]

化学成分
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  • 磁性: なし
  • 耐食性: 高い
  • コスト: 高い

約2%の微量元素(炭素: C、ケイ素: Si、マンガン: Mn、リン: P、イオウ: S、窒素: N)を含む

ステンレス鋼の規格について

ステンレスの規格にはJIS規格鋼種、メーカー独自開発改良鋼種があります。
JIS規格には、JIS G4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)(2015)には、65種類の規格材質が登録、JIS G4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)(2015)には、65種類の規格材質が登録されております。

  • オーステナイト系ステンレス 36規格材質
  • フェライト系ステンレス 15規格材質
  • オーステナイト・フェライト(二相)ステンレス 6規格材質
  • マルテンサイト系ステンレス 6規格材質
  • 析出硬化系ステンレス 2規格材質

また当社では、メーカー独自開発改良鋼種を各種をお取り扱いしております。

詳細は「鋼種で選ぶ」をご覧下さい

メーカー独自開発改良鋼種で、日鉄ステンレス株式会社の比較的汎用性の高い鋼種は常時お取り扱いしておりますが、それ以外の鋼種についてもご使用用途により最適な材料をご紹介・ご相談に応じますので、営業までお問い合わせ下さい

ステンレス薄板の製品形態

ステンレス鋼の薄板では、当社は豊富な加工先とのネットワークを有しておりますので、加工先との連携により、種々の形態でのご提供が可能です。

コイル製品
  • 最大板厚 6.0mm(2Bベース)、最大幅 5フィートのトリムエッジでのご提供が可能です。(但し、フェライト系ステンレスは最大板厚は4mmです。特殊鋼種によっては制限がございますので、ご相談下さい)
  • 表面保護膜貼り品のご提供も可能です。
  • ご要望に応じたコイル質量でのご提供でのご相談に応じます。
  • 0.3mm未満の箔分野の板厚についてもご相談に応じます。
スリットコイル
  • 各種の細幅製品でのご相談に応じます。但し、厚さによっては、MIN幅の制限がございます。
  • 表面保護膜貼り品のご提供も可能です。
  • ご要望に応じたコイル質量でのご提供でのご相談に応じます。
  • スリットのバリ方向の指定も可能です。
  • ボビン巻きのご要望ある場合もご相談下さい。
切板
  • 定尺サイズ(幅1,000mm、1,219mm、1,524mm)の他、各特寸サイズ(幅、長さ)でのご提供が可能です。
  • 長さは通常MAX6,096mmまでですが、これを超える長さについても(MAX12m)ご相談に応じます。
  • 表面保護膜貼り品のご提供も可能です。
  • 梱包質量についてもご相談下さい。(通常定尺サイズは約1t/梱包です)

    尚、特寸での少枚数のご要望の際にもご相談に応じます。

  • SUS304等汎用鋼種での定尺サイズでは短納期(在庫保有)での対応も可能ですのでご相談下さい。
ロールフォーミング製品
  • ステンレス薄板材を素材とした各種フォーミング加工製品についてもご相談に応じます(例えば、フォーミングアングル及びチャンネル、角波成型品、その他特殊形状)

詳細は「薄板製品」をご覧下さい

これ以外の製品形態については「品種・製品形態で選ぶ」をご覧下さい。

ステンレス鋼の耐食性について

高耐食性ステンレス鋼

NSSC 270は、海水、有機酸、硫酸にも優れた耐食性を有するスーパーオーステナイトステンレスで、食品工業、海水淡水化プラント、製塩プラント、など幅広い分野で使用されている最高級のステンレス素材です。応力腐食割れに対しても強い材料です。
また、Cuを添加したNSSC 260、260Aは耐硫酸性に優れており、厳しい腐食環境にさらされるケミカルタンカー、排煙脱硫設備、煙突のライニングに使用されます。
NSSC 170は、SUS316、317Lとくらべ、耐孔食性、すきま腐食性が優れており、また硫酸、塩酸に対する耐食性も優れていることから廃液処理装置、汚泥処理装置、排煙脱硫装置など、環境設備に最適な材料です。

耐粒界腐食性ステンレス鋼

NSSC304UL、316ULは、耐粒界腐食性を向上させるために、C≦0.02%にした材料で、粒界腐食環境での安全性を確実なものとしています。使用済核燃料再処理設備など粒界腐食がとくに問題となる機器に使用されます。

二相ステンレス鋼

NSSC 2120は高強度、高耐食二相ステンレス鋼で、SUS316、317Lよりも優れた耐孔食、耐すきま腐食性を発揮します。常温における耐力は、SUS304、316の約2倍の高強度材料です。
化学プラントの各種機器、建築土木分野などに使用されます。

フェライト系ステンレス鋼

NSSC 190LはNSSC 190をベースに不純物のC元素を極限まで低下させ厚板の靭性の改善と溶接性を著しく改善した材料です。母材、溶接部とも0℃以上で優れた靭性を示します。
耐孔食性、隙間腐食性はSUS304と同等以上で、有機酸などの耐酸性にも優れています。
石油精製、石油化学などの装置材料、工業用熱交換機、都市ガス製造などClイオンを含む機器、貯湯槽の部材などに使用できます。

詳細は「耐食性」をご覧下さい

ステンレス鋼の加工・成形性について

プレス成形時の変形は、大きくは「絞り」と「張出し」に分けられますが、実際の加工ではどちらか片方だけが起こるのではなく、「絞り・張り出し」の両者が合わさって成形性が決まります。

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一般的には……

  • オーステナイト系 …… 加工硬化指数が大きいので「張出し成形」に優れています
  • フェライト系 …… ランクフォード値大きいので「深絞り成形」に優れています

上手にプレス成形加工するには、これらの特長を十分理解の上、用途・形状に合わせた「材料の選択」「フランジの拘束の仕方」「金型の形状」「材料の金型への流し込み方」「潤滑方法の工夫」が必要です。

ステンレス鋼薄板の絞り加工性、張り出し加工性の目安

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  • フェライト系ステンレスは、オーステナイト系とくらべ一般に耐力が高く、スプリングバックにより形状が不安定になりやすい。一方、延性が低いため、金型のフランジ押え力が強すぎると材料が伸び切れるという難しさがあります。
    そういった問題点を改善するために、耐力を下げ、延性を改善した材料が開発されています。(NSSC 180、NSSC 430D)
    また、フェライト系の絞り性をさらに改良した材料も開発されております。(NSSC FW1、NSSC FW2)
  • オーステナイト系ステンレスの代表格であるSUS304は、延性も良好で加工誘起マルテンサイトによる加工硬化もあり、張り出し性は良好ですが、絞り加工も複合すると、時期割れ、応力腐食割れの懸念もあります。
    NSSC 27ASやNSSC 304JSはSUS304をベースに、成分バランスを考慮しながらCuを添加することによって、軟質化し、これらの問題を改良しております。
    高潤滑プレコート鋼板を活用、組み合わせにより、絞り性をさらに改善可能です。

適切な鋼種の選定とそれに合った利用加工条件等を耐食性やコストを含めて検討、ご提案させていただきます。

詳細は「加工・成形性」をご覧下さい

ステンレスの各種表面処理について

  • コイル製品、定尺切板、特寸切板、スリットコイル、フォーミング製品など各種形態を取扱っております。
  • また、薄板製品につきましては、各種研磨加工、エンボス加工、塗装鋼板(クリア、カラー)などを取り扱っております。

詳細は「意匠性・表面仕上げ」をご覧ください

ステンレス鋼の鋼種選定について

NSSC規格鋼種選定をする際の参考にしてください。それぞれの鋼種を選択すると詳細ページで確認できます。




ステンレスの切断加工、スリット加工について

切断加工・スリット加工をサービスを実施しておりますサービスセンターをご紹介致します。

NSステンレスサービスセンター株式会社
(関東)本社・関東サービスセンター
(関西)関西サービスセンター

詳細は「NSステンレスサービスセンター株式会社」をご覧ください

ステンレス鋼を少量でも、すぐに手に入れたい方へ

薄板材料製品の汎用性の高い鋼種については常備サンプルを準備しております。
また、それ以外の材料についてもご要望に応じることできることもありますので、まずは営業までご相談下さい。

お問い合わせ先はこちら